インフルエンザ脳症
毎年寒い季節になると流行するインフルエンザは、乳幼児にとって命の危険もある「インフルエンザ脳症」にかかる恐れがあります。原因や症状をよく知って、対処法や予防法を把握しておきましょう。
インフルエンザ脳症とは
インフルエンザにかかった幼児(主に1~5才)に、けいれん、意識障害、異常行動などの急速に進行する神経症状がみられ、さらに、血管が詰まったり、多くの臓器が働かなくなり、その結果、命に関わる重篤な疾患をインフルエンザ脳炎・脳症といいます。
インフルエンザ脳症の原因
発症率は高くないとは言え、年間100人前後の子どもたちがこの病気にかかっています。まだはっきりとした原因は解明されていませんが、インフルエンザウイルスが直接脳内に影響しているわけではなく、脳内に入り込もうとしたウイルスと戦おうと、アレルギーと同じような過剰な免疫反応が起こることで発症すると言われており、ウイルスの量や、体調、体質が関係していると推測されています。
インフルエンザ脳症の症状
発熱してから、数時間から1日以内に発症することが多いようです。脳内で過剰な免疫反応が発生してから短時間で脳がむくみ(脳浮腫)、症状が悪化するので、素早い対処が必要です。インフルエンザ脳症の初期症状は、後遺症の心配のない高熱で発症する症状と似ていることもあり見分け方が難しいですが、自己判断は禁物です。治療までの時間が早ければ早いほど後遺症の発症を抑えることが出来ますので、下記の初期症状と疑われる状態が見られた場合は、すぐにかかりつけの病院に連絡しましょう。
▼初期症状
頭痛・おう吐
- 激しい頭痛やおう吐
けいれん
- 15分以上続くけいれん
- けいれんがおさまった後も意識がはっきりしない
意識障害
- 呼びかけや痛みに反応しない
- うとうとし続けている
異常な言動
- 訳もなくおびえる等、幻覚が見えているような状態
- 急に怒り出す等、感情の起伏が異常に激しい
- 意味にわからないことや、大声で歌いだす等の異常な言動
▼後遺症
初期症状が重症化すると、呼吸停止や、臓器障害等、命の危険がある症状が現れ始めます。インフルエンザ脳症で死亡する子供の数は年々減少していますが、脳に影響を与える病気のため、後遺症の発症率が高い病気です。インフルエンザ脳症にかかった子供の約15〜20%に後遺症が現れているようです。身体障害や精神障害の後遺症はリハビリでも完全に回復しない場合がほとんどですので、初期症状を見逃さないことが重要です。
インフルエンザ脳症の予防
インフルエンザにかからないことが前提です。日頃から手洗いうがいを習慣づけ、特にインフルエンザが流行する寒い時期は、人ごみを避ける様にしましょう。また高熱でうなされているからといって市販の解熱剤を使用すること、場合によっては症状を悪化させることもあります。病気が疑われる場合は必ず医師から処方された薬を使用しましょう。さらに予防接種を受けておくと、感染しても重症化することを防ぐので、5歳になる頃までは、毎年の予防接種をしっかり受けるようにしましょう。
参考
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